近年、ブドウの中でもシャインマスカットはスーパーで果物売り場の主役を張れるほど知名度が上がっており、巨峰などの従来のブドウの品種からシャインマスカットに転換するブドウ農家が増えていると耳にします。
そんな疑問を持つ方に向けて、栽培面積から見たシャインマスカットの生産地ランキングやシャインマスカットの生産が増えている要因について解説いたします。
目次
シャインマスカットの生産地ランキング
初めに、シャインマスカットの生産地ランキングを紹介します。
順位 | 都道府県 | 栽培面積(ha) |
---|---|---|
1位 | 長野 | 742.3 |
2位 | 山梨 | 631.4 |
3位 | 山形 | 250.8 |
4位 | 岡山 | 232.2 |
5位 | 福岡 | 66.3 |
6位 | 大分 | 63.0 |
7位 | 愛知 | 51.3 |
8位 | 島根 | 41.8 |
9位 | 福島 | 41.4 |
10位 | 広島 | 34.0 |
最新データである令和3年のシャインマスカット栽培面積は長野県・山梨県・山形県が上位3県であり、長野県と山梨県だけで全体(2,345.6ha)の半分以上の栽培面積を誇っています。
他のブドウを含めた生産量ランキングでは山梨県が1位であり、長野県がブドウ名産地の山梨県よりもシャインマスカットを重点的に栽培していることが伺えます。
また、岡山県は高品質なマスカットを生産する産地として名高く、シャインマスカットの中でも糖度や見た目などの厳しい検査基準をクリアしたものを晴王というブランドで価値提供しています。
シャインマスカットの栽培面積は10年間で約6倍!
栽培面積の 比較(ha) | 2011年 | 2021年 |
---|---|---|
巨峰 | 5,347.8 | 2,528.3 |
シャインマスカット | 378.8 | 2,345.6 |
ピオーネ | 2391.9 | 1,733.4 |
ブドウの栽培面積を10年前と比較した時、現在の上位3品種である巨峰・シャインマスカット・ピオーネのうち、シャインマスカットの栽培面積は約6倍に増えています。
一方で、巨峰とピオーネの栽培面積は10年で著しく減少しており、1位の巨峰においては約半分程に減少。つまり、他のブドウ品種を生産する農家さんがシャインマスカットに転換している傾向が見られます。
ブドウ農家がシャインマスカットに転換する3つの理由
せっかく今まで育てていたブドウをシャインマスカットに換えるのはなぜ?
ここでは、ブドウ農家が巨峰などの他品種からシャインマスカットに転換する理由について3つ解説します。
①消費者人気の高まり
シャインマスカットは種無しで皮ごと食べられるため、贈答用・自宅用ともにとても人気があります。
近年の物価上昇とともにブドウも価格が上がっているものの、シャインマスカットは高級フルーツという印象や、食べやすさ・食味の良さから高単価でも購入されやすい。
そして、農家が収益を安定させるためにも、消費者からの需要があり高単価で購入されるシャインマスカットを拡大して生産しています。
②着色管理の手間が省ける
巨峰やピオーネなどの黒系ブドウは着色にムラがあると等級が下がるため、着果管理や温度管理などの様々な徹底管理により着色を良くしています。
一方で、シャインマスカットは黒系ブドウよりも厳しい着色管理を求められておらず、管理の手間が省けます。
年々深刻化している気温上昇からも着色不良が生じるため、黒系ブドウから改植してシャインマスカットの栽培を始める要因となります。
③脱粒性が低く、正品率が高い
シャインマスカットは黒系ブドウよりも粒が房から落ちにくく、ロスになりにくいため効率よく正品として出荷できます。
また、シャインマスカットは黒系ブドウよりも晩腐病が発生しにくく、病害対策をすることでより正品率を高めやすいというメリットもあります。
晩腐病とはブドウの重要病害であり、病原菌が収穫期・収穫後のブドウ果実を腐敗させます。雨を媒体として感染するため、雨除け栽培や袋掛けが病害対策になります。
シャインマスカットは消費者にも農家にも人気のブドウ!
今回はシャインマスカットについて紹介しました。パリッと皮ごと食べられるシャインマスカットは消費者に人気なだけでなく、栽培面のメリットが多く農家さんにも人気なブドウですね。
秋にしか味わえない緑色の宝石を味わってみてはいかがでしょうか?
この記事が参考になれば嬉しいです!
最近よく見るシャインマスカットってどこの産地が有名?