果物の栄養素はビタミンだけじゃない!?フルーツの栄養素や機能性成分について紹介!

果物の栄養素

果物はヘルシーで多くの栄養素を含み、その機能性成分は様々な場面で注目されています。

果物は健康に良いって聞くけど、実際どんな成分が含まれているんだろう?

そう思う方に向けて、今回は果物の栄養素機能性成分について分類ごとにわかりやすく紹介いたします。

果物の栄養素一覧

果物の栄養素一覧

まずは果物に含まれている栄養素(ビタミン、ミネラル、炭水化物、フィトケミカル、その他)について一覧で紹介いたします。

ビタミンメリット果物の例
Cコラーゲン生成補助
免疫力向上

イチゴ
B₂代謝酵素の補酵素アボカド
ドリアン
B₆アミノ酸代謝の補酵素バナナ
アボカド
葉酸造血作用
成長や妊娠に関与
イチゴ
アボカド
A体の成長
正常な視覚

柑橘類
E抗酸化作用
脂質の酸化を抑制
アボカド
ウメ
ミネラルメリット果物の例
カリウム体内の塩分調整果物全般
カルシウム骨や歯の形成金柑
マグネシウム酵素の活性化栗・アボカド
炭水化物メリット果物の例
糖類甘味成分
エネルギー源
果物全般
糖アルコール低カロリーな甘味バラ科果樹
メロン
デンプン追熟で甘味増加バナナ
食物繊維血糖値の上昇抑制
腸内環境の改善

アボカド
フィトケミカルメリット果物の例
カロテノイド黄・橙の色素
抗酸化作用

柑橘類
ポリフェノール赤・紫の色素
抗酸化作用
ブルーベリー
テルペノイド香り・苦味成分
免疫力向上
柑橘類
フラボノイド苦味成分
食欲抑制作用
ナツミカン
グレープフルーツ
その他メリット果物の例
有機酸酸味成分
疲労回復効果
リンゴ
柑橘類
アスパラギンスタミナ向上
利尿作用
モモ
スモモ
シトルリン血流改善
動脈硬化緩和
スイカ
メロン
オレイン酸悪玉コレステロール
を抑制
オリーブ
アボカド

こんなにたくさん栄養素があるの!?

一種類の果物だけ見ても様々な栄養素が含まれており、かつ果物ごとに栄養素の含有量は異なっています。

ここからはそれぞれの栄養素について解説していきます。

果物の栄養素① ビタミン(C・B群・A・E)

ビタミン

果物の栄養素において重要視されるビタミン。体の調子を正常に保つ働きを持ち、体内で作り出すことがほとんどできないため食べ物から補給する必要があります。

ビタミンには水溶性脂溶性があります。水溶性ビタミンは体液に溶け込み余分なものは尿として排出されるのに対し、脂溶性ビタミンは過剰摂取すると体に悪影響を及ぼします。

  • ビタミンC(水溶性)
  • ビタミンB群(水溶性)
  • ビタミンA(脂溶性)
  • ビタミンE(脂溶性)

今回は果物に含まれる上記4種類のビタミンを紹介いたします。

ビタミンC

生理作用
  • コラーゲンの生成に必須
  • 鉄分(ヘム鉄,非ヘム鉄)の吸収率を高める
  • ストレスや風邪などに対する抵抗力(免疫)を強める

果物のビタミンと言えばビタミンCを想像する方も多いのではないでしょうか?

ビタミンCは別名アスコルビン酸という水溶性ビタミンであり、柿・キウイ・いちご等様々な果物に多く含まれている栄養素です。

抗酸化作用を持ち、老化の元凶となる活性酸素を撃退することで免疫力を高める効果があります。他にもコラーゲンの生成や鉄分の吸収にも関与しています。

ビタミンB群

ビタミンB群生理作用
ビタミンB₂皮膚や髪、爪などの状態を正常に保つ
脂質の代謝を促進
ビタミンB₆皮膚の新陳代謝に役立つ
粘膜の維持に関与
葉酸造血作用に必要
DNA合成や細胞分裂に関与
成長や妊娠に関与

ビタミンB群は8種類(ビタミンB₁,B₂,B₆,B₁₂,ナイアシン,パントテン酸,葉酸,ビオチン)の水溶性ビタミンのことを表しています。

その中でも果物にはビタミンB群のビタミンB₂ビタミンB₆葉酸などを含有しており、アボカドやドリアンなどに多く含まれています。

ビタミンB群は生体内の代謝(合成や分解)に関与しており、特に葉酸は赤血球の生成や細胞分裂に必要な栄養素のため妊娠中の胎児の生育に不可欠です。

ビタミンA

生理作用
  • 目や皮膚の粘膜を正常に保つ作用
  • 薄暗いところで視力を保つ作用

ビタミンAはレチノールを主成分とした脂溶性ビタミンであり、体の成長・正常な視覚・免疫機能に関与しています。過剰に摂取すると中毒症状が出るので注意が必要です。

ビタミンAそのものは果物ではなくレバーなどの動物性食品に多く含まれており、果物にはその前駆体となるプロビタミンAが含まれています。

柿やマンゴーに含まれるβカロテンや柑橘系に含まれるβクリプトキサンチンなどがプロビタミンAであり、体内にビタミンAが不足しているときにビタミンAに変換され不足分を補います。よって果物からのプロビタミンAの摂取であればビタミンAの過剰摂取にならないというメリットがあります。

ビタミンE

生理作用
  • 血管を正常に保つ
  • 生活習慣病や老化の予防

ビタミンEはトコフェロールを主成分とした脂溶性ビタミンの一つであり、果物においてはアボカドやウメに多く含まれます。

ビタミンEは強い抗酸化作用を持つため、脂質や細胞の酸化を抑制して生活習慣病や老化を予防する効果があります。

果物の栄養素② ミネラル

ミネラル

ミネラルとは無機質とも言い、生体で機能する五大栄養素の一つです。

  • カリウム
  • カルシウム
  • マグネシウム

果物には多くのミネラルが含まれており、今回は主要な上記3種類のミネラルを紹介します。

カリウム K

生理作用など
  • 細胞の浸透圧調整
  • 血圧を下げる
  • 筋肉の収縮や神経伝達に関与

果物において特に注目されやすいミネラルはカリウムであり、多くの果物に含まれています。

カリウムにはナトリウムを排出する作用があり、果物は野菜よりもナトリウム含量が少ないため塩分の取りすぎを調節するのに役立ちます。

他にも筋肉の収縮や神経伝達にも関係しています。

カルシウム Ca

生理作用
  • 骨や歯を形成する
  • 血液の凝固作用を促し出血の予防
  • 筋肉の収縮作用

カルシウム骨や歯の構成成分であり、血液・筋肉・神経にも存在しています。

果物にはあまり含まれていないミネラルですが、金柑に多く含まれています。

マグネシウム Mg

生理作用
  • エネルギー生成の代謝をサポート
  • 骨や歯の生成に関与
  • 高血圧の予防

マグネシウムは多くの酵素を活性化させる役割を持ち、カルシウム量をコントロールすることで筋肉の収縮と弛緩を調節しています。

果物においては栗やアボカド、バナナなどに多く含まれています。

果物の栄養素③ 炭水化物(甘味成分、食物繊維)

炭水化物

炭水化物は五大栄養素の一つ。糖質食物繊維に分かれており、糖質は果物の甘味成分やエネルギー源。食物繊維は血糖値や腸内環境に関与しています。

糖質

糖質の中でも糖類・糖アルコール・多糖類などの分類があり、果物は主に糖類が含まれています。

果物の糖類はブドウ糖・果糖・ショ糖がメインとなって甘さを感じています。

糖類特徴
ブドウ糖(グルコース)簡単に体内で吸収されてエネルギーになる。
果糖(フルクトース)ブドウ糖よりも甘い。低温の時に甘さを強く感じる。
ショ糖(スクロース)ブドウ糖と果糖の結合物であり、一般的な砂糖の成分。
甘味度は「果糖>ショ糖>ブドウ糖」の順

また、糖アルコールは消化吸収されにくい低カロリーな甘味成分で、果物によってソルビトール(バラ科の果樹)やエリスリトール(メロン、ブドウ等)が含まれています。

バナナやキウイフルーツなどは多糖類であるデンプンを蓄積し、成熟や追熟により糖類となって甘味を増加させます。

豆知識

リンゴの蜜はソルビトールが飽和ほうわして細胞間に染み出ている現象であり、爽やかな甘さを感じられます。

食物繊維

食物繊維(果物含有成分の例)生理効果
水溶性食物繊維(ペクチン)栄養素の吸収を緩やかにして血糖値の上昇を抑制
血中のコレステロール値を低下させる作用
ナトリウムを排出し高血圧を予防
不溶性食物繊維(セルロース)水分を吸収し排便を促す
腸を掃除し大腸がんの予防

食物繊維は人の消化酵素の影響を受けずに大腸まで届く成分であり、水溶性不溶性の2種類に分類されます。

腸内環境を整える作用や、栄養素の吸収をコントロールして血糖値の急な上昇を抑制したりコレステロール値を低下させる作用があります。

果物全般に含有し、栗やアボカドに多く含まれています。

果物の栄養素④ フィトケミカル(色素、苦味成分)

フィトケミカル

フィトケミカル(phytochemical)とは色素香り苦味など植物が環境から身を守るために生成した化学物質のことを表し、抗酸化物質として老化や生活習慣病の元凶となる活性酸素を取り除く効果があります。

  • カロテノイド(カロテン類)
  • ポリフェノール
  • テルペノイド(テルペン類)
  • フラボノイド

このように機能性成分として注目されているフィトケミカルは果物に含まれており、特に果物に関係のある4種類を紹介します。

カロテノイド(カロテン類)

カロテノイド果物の例
βカロテン柿、マンゴー、ビワ
リコピンスイカ、グレープフルーツ(赤肉)
βクリプトキサンチン温州みかん等の柑橘類

カロテノイドは黄色・橙色・赤色を示す色素の総称であり、柑橘類やマンゴーなどの様々な果物に含まれています。

代表的なβカロテンは抗酸化作用のみならず、体内でビタミンAに変化し不足分を補うことができます。

他にも、トマトの赤色として有名なリコピンも強い抗酸化作用を持ち、温州みかんに含まれるβクリプトキサンチンがんや生活習慣病の予防に役立つと言われています。

ポリフェノール

ポリフェノール果物の例
アントシアニンブルーベリー、イチゴ、ブドウ、リンゴ
プロシアニジンリンゴ
レスベラトロールブドウ(赤ワイン)
タンニン柿、バナナ、リンゴ、モモ

健康に良い物質として知られるポリフェノールもフィトケミカルとして抗酸化作用を持った成分の一つです。

果物に含まれるポリフェノールとしてアントシアニンが有名であり、赤色や紫色の色素成分として果実や花などに含まれています。

また、柿の渋味の成分であるタンニンもポリフェノールの一つで抗菌・抗ウイルス作用があります。

豆知識

バナナの食べ頃を示す黒い点(シュガースポット)や切ったリンゴが褐変する原因はどちらもポリフェノールと酸化酵素によって生じたメラニンによるものです。

テルペノイド(テルペン類)

リモネンの生理作用
  • リラックス効果
  • 抗がん作用
  • 免疫力の向上

テルペノイドは柑橘類やハーブなどの香り成分や苦味成分の総称のことを言います。

柑橘類の皮に多く含まれているリモネンという香り成分もこの一種です。

フラボノイド

ナリンギンの生理作用
  • 食欲抑制作用
  • 血流改善

ポリフェノールの一種のフラボノイドは色素・苦味成分であり、ナツミカンやグレープフルーツに含まれるナリンギンは水溶性のフラボノイドで柑橘類の皮に多く含まれる苦味成分です。

ナリンギンは薬の作用を阻害する可能性があり、高血圧の治療薬と一緒に摂取すると薬の効果を過剰に強くし悪影響を及ぼす可能性があるので注意が必要です。

果物の栄養素⑤ 有機酸(酸味成分)

有機酸

有機酸とは酸性を示す有機化合物のことであり、果物における酸味成分です。

果物の例
  • リンゴ酸…リンゴ、サクランボなど
  • クエン酸…柑橘類など
  • 酒石酸…ぶどう
  • キナ酸…キウイフルーツ

果物の酸味はリンゴ酸クエン酸酒石酸などの有機酸が主であり、乳酸の分解による疲労回復効果があると言われています。

果物の栄養素⑥ その他(アミノ酸・脂質)

栄養素生理作用果物の例
アスパラギンスタミナ向上
尿の排出を促進
モモ、スモモ等
シトルリン血流改善
動脈硬化緩和
スイカ、メロン等
オレイン酸悪玉コレステロールを抑制オリーブ、アボカド等

果物にもアミノ酸や脂質は含まれており、体内で機能性成分として作用します。

アミノ酸としてはアスパラギンシトルリン、脂質については不飽和脂肪酸のオレイン酸等が含まれています。

果物を食べる上で大切な考え方

たまに、このような考えを持つ方がいます。

果物は皮に栄養が多いから、美味しくなくても皮ごと食べよう。

確かに、同じグラム数で考えたときの果物の皮には果肉よりも栄養素が多い可能性が高いです。

しかし果肉にも栄養素は含まれており、嫌な思いをしながら食べるよりかは果物を最大限美味しく食べて満足できる方が心身ともに健康に良いです。

もちろん、ブルーベリーイチゴのように果皮ごとを食べられて美味しい果物や、マーマレード等に加工して果皮を美味しく食べることもできます。

要するに、果物はあくまで嗜好品なのでその味わいや香りを楽しむことが重要であり、好きな果物を美味しく食べて体の健康だけでなく気持ちのリフレッシュに活用しましょう。

参考文献

今回参考にさせていただいた書籍やホームページ等を紹介いたします。

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【まとめ】果物を食べて栄養素を美味しく摂ろう!

今回は果物に含まれる栄養素について紹介しました。

健康に役立つ成分がたくさん詰まった果実を今日も食べてみませんか?

ずい

この記事が参考になれば嬉しいです。

ABOUT US
ずい
「果物系男子の実りある人生」をご覧いただきありがとうございます。 果物が大好きで果物と共に生きてきた私が、果物で彩りのある生活を送る上で参考になる情報をお伝えします。 【経歴】明治大学農学部農学科卒 / 梅干メーカーの営業を経験 / 野菜ソムリエプロの資格取得 / 高級果物の販売業に5年間従事/野菜ソムリエ協会認定果物ソムリエ取得(2023年)