都会の中心とも言える東京駅のすぐ近くに、果物の歴史を感じられるスポットがあるのをご存じですか?
皇室のお庭である皇居東御苑(旧江戸城跡)に果樹古品種園と呼ばれるエリアが存在し、一般では見られない江戸時代の果物を実際に観て学べる環境が整っています。
今回は、果樹古品種園についての基本情報や行ってみた感想&注意点などを紹介します。
果樹古品種園とは?

果樹古品種園とは上皇陛下発案により作られた果樹園であり、江戸城の跡地である皇居東御苑の本丸にかつて食用として栽培されていた江戸時代の果樹品種が栽培されています。
果樹古品種園への行き方
果樹古品種園への行き方を解説します。
| 入口 | 最寄駅 |
|---|---|
| 大手門 | 大手町駅(C13a出口)徒歩5分程 二重橋前駅(6番出口)徒歩10分程 JR東京駅(丸の内北口)徒歩15分程 |
| 平川門 | 竹橋駅(1a出口)徒歩5分程 |
| 北桔橋門 | 竹橋駅(1a出口)徒歩5分程 |
まず、皇居東御苑には入口が3ヵ所あり、大手門から入るのが果樹古品種園にもっと近い入口です。
大手門から入った後、売店・百人番所・中之門跡・中雀門跡を眺めながら進むと、開けた場所に果樹古品種園のエリアが広がっています。
入園料&開園日程
皇居東御苑は入場無料であり、その中にある果樹古品種園も無料で見られます。
- 月・金曜日
- 天皇誕生日以外の国民の祝日等の休日は公開日
- 月曜日が公開日になった際は翌日の火曜が休園日
- 12/28~翌年1/3
- 行事の実施日など
基本的に月・金曜日や年末年始が休園日であり、行事の実施日なども休園しています。正確な開園日は公式HPの休園カレンダーを参考にしましょう。
栽培品種の紹介

| ニホンナシ | 淡雪・今村秋 大古賀・類産梨 六月梨 |
| モモ・スモモ | 薬缶・おはつもも 米桃・万左衛門 |
| カンキツ | 紀州ミカン・臭橙 三宝柑・クネンボ 江上ブンタン |
| カキ | 禅寺丸・豊岡 堂上蜂屋・祇園坊 四溝 |
| ワリンゴ | 加賀藩在来 リンキ 高坂リンゴ |
果物はニホンナシ・モモ(スモモ)・カンキツ・柿・ワリンゴの5種類であり合計22品種の果樹が栽培されています。それぞれの果樹品種の特徴を紹介します。
| 淡雪 | 【栽培地】新潟県中部 【色】黄褐色 【形】扁円形 【味】中程度の甘さ&酸味少 【結実期】9月 |
| 今村秋 | 【栽培地】高知県 【色】黄褐色 【形】円卵形 【味】甘味あり&酸味強 【結実期】9月 |
| 大古賀 | 【栽培地】岐阜県(美濃) 【色】黄褐色 【形】紡錘形 【味】甘味少&酸味かなり強 【結実期】10月 |
| 類産梨 | 【栽培地】新潟県 【色】黄褐色 【形】紡錘形 【味】甘味少&酸味かなり強 【結実期】10月 |
| 六月梨 | 【栽培地】関東地方(群馬県) 【色】黄褐色 【形】円形 【味】甘味少&酸味少 【結実期】8月 |
| 薬缶 | 【栽培地】北陸地方 【色】地色緑⇒赤く着色&果肉白 【形】円形 【味】中程度の甘味&酸味強 【結実期】7月 |
| おはつもも | 【栽培地】長野県下伊那地方 【色】緑で陽光面が赤く着色&果肉緑白 【形】扁円形 【味】甘味少&くさみ無し 【結実期】9月 |
| 米桃 | 【栽培地】鹿児島県 【色】地色淡緑⇒赤紫に着色&果肉濃赤色 【形】扁円形 【味】甘味少&淡泊 【結実期】8月 |
| 万左衛門 | 【栽培地】鹿児島県 【色】地色緑⇒全面赤紫に着色&果肉濃赤色 【形】扁円形 【味】酸味強 【結実期】8月 |
| 紀州ミカン | 【栽培地】和歌山県 【色】橙色 【形】扁球形 【味】甘味多、美味 【結実期】12月~2月 |
| 臭橙 | 【栽培地】インドヒマラヤ地方 【色】赤橙色 【形】球形 【味】酸味強&爽やかな香り 【結実期】1~2月 |
| 三宝柑 | 【栽培地】和歌山県 【色】黄橙色 【形】短倒卵形 【味】爽やかな味わい 【結実期】12月~2月 |
| 九年母 | 【栽培地】沖縄県 【色】橙色 【形】扁球形 【味】酸味やや強&甘味多 【結実期】1~2月 |
| 江上ブンタン | 【栽培地】長崎県 【色】黄色 【形】扁球形 【味】甘酸っぱくさっぱり&わずかに苦味 【結実期】12月~1月 |
| 禅寺丸 | 【栽培地】神奈川県 【色】紅橙色 【形】縦横断面ともに円形 【味】不完全甘柿 【結実期】11月 |
| 豊岡 | 【栽培地】京都府南部 【色】橙色 【形】縦長、縦断面卵型&横断面方円形 【味】不完全甘柿、甘味高い 【結実期】11月 |
| 堂上蜂屋 | 【栽培地】岐阜県 【色】橙黄色 【形】縦長、横断面方円形 【味】完全渋柿&古くから干し柿に利用 【結実期】11月 |
| 祇園坊 | 【栽培地】広島県 【色】橙黄色 【形】縦長、縦断面楔形、横断面方形、側面に溝 【味】完全渋柿&古くから干し柿に利用 【結実期】11月 |
| 四溝 | 【栽培地】静岡県東部 【色】橙色 【形】縦長、縦断面楔形、横断面方形、側面に溝 【味】完全渋柿&渋抜きすると食用になり甘味高い 【結実期】9月 |
| 加賀藩在来 | 【栽培地】石川県 【色】赤色 【形】扁円形 【味】甘酸っぱい 【結実期】8月 |
| リンキ | 【栽培地】青森県津軽地方 【色】赤色 【形】扁円形 【味】甘酸っぱい、渋み有り 【結実期】9月 |
| 高坂リンゴ | 【栽培地】長野県北部 【色】赤色 【形】扁円形 【味】甘酸っぱい、渋み有り 【結実期】8月 |
上記品種の中でカンキツ3種(三宝柑・九年母・紀州ミカン)を上皇陛下、ニホンナシ3種(淡雪・大古河・類産梨)を上皇后陛下が2008年に植樹されています。
また、2009年にワリンゴ2品種(高坂リンゴ・リンキ)とカキ2品種(豊岡・四溝)を上皇上皇后両陛下が植樹されています。
実際に訪問してみたレビュー&感想

続いて、筆者が実際に果樹古品種園に訪問したレビューや感想について紹介します。
季節や雰囲気
今回筆者は10月末に訪問。開けた空間なので少し肌寒く、エリア内にポツンポツンとそれぞれの品種が植わっていました。
訪問した際はカキとカンキツが果実を付けており、カキは全体的に綺麗なオレンジ色、カンキツはまだまだ緑や黄緑のものが多かったです。

柿はたくさんの果実が密集して実っていました!
品種の見やすさ
- 東エリア:ニホンナシ、モモ・スモモ、カンキツ
- 西エリア:カキ、ワリンゴ
果樹園は東と西のエリアに分かれており、樹体本体かその近くにネームプレートが付いているためそれぞれの品種がわかりやすくなっています。
また、看板に品種の位置がそれぞれ番号で記載されているので、樹が生い茂ってプレートが見えない場合は看板で確認できます。

柿は特に果実と葉っぱで内側が見えずらいので品種がわかりにくかったです!
来園者の様子
来園者について、老若男女問わず様々な年代層の方が来園していました。また、外国の方の来園も多く、マップ看板には英語表記もされていました。
どちらの方もゆったりとお散歩や休憩をされており、時間に追われていない空間でのんびり皇居のお庭を鑑賞できます。
行ってみた感想
果樹古品種園では今ではなかなか見られない果物の品種を鑑賞でき、果物がたくさん実っていた柿やカンキツは特に見ごたえがあります。
他の梨・桃・林檎が実る時期や花が咲く時期に訪問しても楽しめると感じました。

果実が収穫できないのは残念ですが、果物好きな私としては充分楽しめるスポットでした!
果樹古品種園訪問の注意点

続いて、果樹古品種園に訪れる際に注意した方が良いことを解説いたします。
持ち物チェックあり
皇居東御苑は無料で一般公開されているものの、皇居のお庭ということで入口で持ち物チェックが行われています。
刃物や火の元になる危険物の持ち込みはもちろんのこと、怪しまれるようなものを持ち込まないようにしましょう。
撮影ルールを守る
皇居東御苑では個人的な写真撮影や観光ガイドの集合写真などはOKですが、他者の迷惑になる撮影や収益につながる動画・画像などの撮影は禁じられています。
写真・動画を撮る場合は周りの方に充分配慮して、観光の記念として自分用に撮影しましょう。
果実の採取は禁止
果樹古品種園は品種の保存と鑑賞が目的であり、美味しそうに実っていても収穫は禁止されています。あくまで鑑賞用という気持ちで昔の果樹を眺めましょう。

果物が食べたければ、品種改良された現代の果物の方が美味しいと思います!
皇居東御苑の他の見どころは?

皇居東御苑は果樹古品種園の他にも見どころが満載であり、時間をかけて散策を楽しめるスポットです。他の見どころについて少しだけ紹介いたします。
歴史的建造物
| 大手門 | 江戸城の正門 |
| 富士見櫓 | 本丸地区に現存する唯一の櫓 |
| 富士見多聞 | 城壁の上に建てられた細長い長屋状の建物 |
| 天守台 | 江戸城天守閣の土台部分 |
| 百人番所 | 江戸城の本丸御殿の最大の検問所 |
参勤交代で大名達が登城していた大手門や江戸城の土台部分の石垣である天守台など、江戸時代にまつわる建物を眺め歴史を感じながら散策ができます。
季節の花や庭園の自然(バラ・桜・アジサイなど)
- バラ園
- 桜の島
- 竹林
- 野草の島
- アジサイ
- 菖蒲田
- 茶畑
バラ・桜・アジサイなどの季節の花々や竹林・茶畑のような自然を感じられる庭園がところどころに展開されています。
また、広い大芝生エリアではシートを敷いてお昼寝している方も見られました。
果樹古品種園で静かな自然と歴史を感じよう!

今回は皇居東御苑の果樹古品種園について紹介しました。江戸時代に栽培されていた品種を経て、現在の美味しい果物へと発展してきたことを思うと感慨深いですね。
ゆったりとした自然や果物を鑑賞し、江戸時代の歴史を感じたい方はぜひ訪れてみてください。

この記事が参考になれば嬉しいです!















皇居東御苑内の他の散策スポットについても紹介します。